
汚染された大型機器を焼却炉に入る大きさに解体して搬出するのは、汚染絶縁油が漏出するなどの2次汚染対策が欠かせないためコストも高くつきます。そこで当社は、全国どこへでも持ち運び可能な洗浄装置「SPICA(スピカ)」を開発。これをお客さまの敷地に設置し、汚染機器を無害化してから安全に解体・搬出する処理方法を生み出しました。
洗浄装置を使って汚染機器内に溶剤を循環させることにより、機器内に付着したPCBを除去します。処理後、無害化された筐体などの金属類は有価物としてリサイクルできるため資源がムダにならず、焼却に伴うCO2発生も抑えられます。また、処理する機器が大型になれば、金属類の売却価格は処理費用の一部にあてることができるため、とても経済的です。
温度や圧力などの負荷をかけずに溶剤を循環させるため、古くなった機器から溶剤が漏れ出すリスクがほとんどありません
化学反応を伴わない炭化水素系溶剤を使用するため副生成物や排ガスが発生せず、安全で環境への影響もほとんどありません
洗浄後は金属類のリサイクルが可能。資源を有効活用できるだけでなく、有価物として売却できるため経済的です
国内最大級である、1,000MVAの変圧器にも対応しています
PCB濃度が11mg/kg以下の場合、8時間循環+16時間浸漬の、1サイクル 24時間という短期間で処理が可能です
装置稼働時に発生する音は約50db。掃除機(約60~70db)より静かで、振動もとても小さいです
大型・超大型
そのままでは構外に搬出できない大きさ(10,000kVA以上または総重量40t以上)
0.5mg/kg 超
絶縁油のサンプリングによって「油中PCB濃度分析」を行い、PCB濃度が0.5mg/kgを超過する場合
75㎡から
洗浄装置に加えて、周辺設備等を設置する広さが必要
事前に汚染機器から微量PCB汚染絶縁油は抜油して焼却処理。
その上で、お客さまの敷地内に設置した洗浄装置を使って汚染機器内に溶剤を循環・浸漬(しんせき)させ、
機器内に付着・含浸(がんしん)したPCBを除去、無害化します。
万一の漏油に備え、二重にシートを重ねたアルミ製の仮設防油堤を設置し、その上に対象変圧器を据え付けます。
必要に応じて対象変圧器の組み立てを行ったのち、気密試験を実施。異常があれば漏油の原因となるので、補修を実施します。
対象変圧器と洗浄装置を配管で接続し、洗浄溶剤を注入。
溶剤を8時間(日中)循環させ、16 時間(夜間)浸漬させる、という1サイクル24 時間で洗浄。循環中はオペレーターが状況を監視するほか、夜間も異常があれば1時間以内 に対応できる体制を構築しています。
洗浄溶剤のPCB 濃度を分析し、0.4mg/kg 以下まで無害化できたら洗浄完了。必要に応じ、この値以下になるまで洗浄サイクルを繰り返します。
洗浄装置や防油堤などを撤去。処理により有価物として売却が可能となった対象変圧器については、搬出作業まで行います。
3つの原理を応用して、電気機器に付着・含浸している
微量PCB汚染絶縁油を、機器から確実に除去
汚染絶縁油と洗浄溶剤との比重差による沈降分離
相互溶解性によって汚染絶縁油と洗浄溶剤が置換
洗浄溶剤の循環時に生じる流れによって汚染絶縁油は剥離分散
国の基準よりも厳しく設定した当社管理基準値PCB濃度≦0.4mg/kgまでPCBを安全・確実に除去いたします。
現地洗浄処理を実施するには、対象地点ごとに環境大臣へ無害化処理申請をして認定取得をする必要があります。お客さまの状況に合わせて処理対象物を決め、処理計画を立案し関係法令に基づいて「認定申請」を行います。
現地洗浄処理に伴う行政との
事前協議、申請、書類提出など、
かんでんエンジニアリングが
実施いたします。
移動式洗浄方式における全国の洗浄地点数および都道府県別での実績。
出典:環境省『低濃度PCB廃棄物の処理体制の整備状況及び処理状況』の低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設《洗浄方式》集計結果による(2022年2月末時点)
東京サイト八王子・日野はコニカミノルタの研究開発拠点として位置しております。
当社は2050年の長期環境ビジョン(エコビジョン2050)において、自社の二酸化炭素(CO2)排出量を2050年に2005年比で8割減とするとともに、取引先様・調達先様などの環境対策支援などを通じて、事業活動による排出量を上回るCO2排出削減効果を出す「カーボンマイナス」を目指すなど環境面に配慮した事業展開を行っております。
今回、東京サイト日野におけるトランス更新工事と並行して、老朽化した大型変圧器のPCB無害化処理をお願いしました。施工にあたり東京サイト日野は住宅地の中にあることから近隣住民への環境影響、順法リスク(土壌汚染、騒音、悪臭)、更新工事に影響しない工程、安全性、コストなどを中心に現地分解法、現地洗浄処理法を含め2~3年かけて検討。かんでんエンジニアリングさんの加圧・加温しない「溶剤循環洗浄法」は無害化してから解体するので、リスクが少なく環境に配慮した方法であることから採用しました。
特に、かんでんエンジニアリングさん主催の「現地見学会」へ参加し、防油堤や漏油検知器の設置をするなど、万全な汚染機器の漏油対策を目の当たりにして、環境影響や環境リスクのレベルを見学会で確認でき、自社の敷地内で実施することに問題はないと確信しました。 施工中の安全対策、スピード感など、工事とマネジメント品質の両面で見事に応えてくれました。また、施工後の撤去作業では、現場の草抜きや掃除まで行っていただくなど、至れり尽くせりの対応ありがとうございました。
環境に配慮した最大規模の研究開発施設 コニカミノルタ八王子SKT※※SKT Smart R&D office for Knowledge work and Trans-boundary communication
同社の製品であるA3カラー複合機「bizhub C658」
東日本大震災当時、企業が保管していたPCB汚染トランスが津波で流されて行方不明になり、現地の環境調査で2次汚染が発覚したというニュースが流れました。あれを見て、「PCB汚染機器は、きちんと保管してれば大丈夫なのではない。持っていること自体がリスクなんだ」との認識が社内で共有され、当事業所で保管していた大型変圧器についても早急に処理方法の検討に入りました。
まずは敷地内で解体して焼却する方法が検討されましたが、これは解体する際にも運搬する際にも2次汚染のリスクがあるため却下。そんなとき、現地で無害化するかんでんエンジニアリングさんの処理方法を知って興味を持ち、さっそく処理現場の見学会に参加しました。
採用の決め手は、加圧・加温しない穏やかな条件下での処理という点。当社は過去にPCBの処理プラントを事業化した経験から、古い機器を加圧すると接続部などから漏れが発生しやすいことや、加温による化学反応で新たな有害物質に変化してしまうリスクがあることを知っていたからです。結局、処理前後の土壌調査で敷地への汚染が全くなかったことが確認できていますし、音も静かで誰も気づかないうちに「そうっと終わっちゃった」という印象なので、結果には非常に満足しています。
大正元年の創業以来、ポンプを主体とする産業機器の製造・販売に携わり、今や世界中に拠点を展開するグローバルなメーカー。グループをあげて、ISO14001に基づいた環境管理に取り組んでいる。
荏原製作所 藤沢事業所本館
同社の製品である「大型排水ポンプ」